ドイツ人の「5時退社」が実現する理由
熊谷徹さんの著書『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』は、ドイツに27年間住んだ著者が見た、日本とドイツの働き方の違いをリアルに描き出した一冊です。この本は、定時退社を当たり前とするドイツの文化から学べるポイントを、日本のビジネスパーソンに向けて分かりやすく伝えています。「定時に帰る仕事術」とは何か?その背景や考え方を探りつつ、日本でも活用できる方法を紹介します。
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1. 明確な業務時間の意識
ドイツでは、労働時間は厳密に管理されており、法定労働時間を超えることは基本的に禁止されています。職場でも、効率的に仕事を終えるための文化が根付いており、定時退社がルールとして機能しています。
熊谷さんによると、ドイツ人は「仕事を効率よく終わらせること」に集中し、だらだらと仕事をすることはほとんどありません。日本のように「残業前提」で業務計画を立てる文化とは対照的です。この違いが、結果としてワークライフバランスの充実を生んでいるのです。
2. オフの時間を大切にする文化
ドイツでは、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」という線引きが明確です。特に退社後や週末は、家族や趣味の時間を過ごすことが何よりも優先されます。仕事のメールを休日に送ることは暗黙のタブーとされており、オフの時間を侵害する行為とみなされます。
私自身もドイツ人の友人と交流した際に、仕事の話を持ち出すと「あくまで今はプライベートな時間」とやんわり断られたことがあります。このような価値観は、日本人の「仕事中心」の考え方とは大きく異なり、参考になるポイントです。
日本人が「5時退社」を難しくする要因
1. 長時間労働を美徳とする風潮
日本では、「長時間働く=頑張っている」という価値観が根強く残っています。この文化が、効率を重視する働き方の妨げとなっています。熊谷さんは、「仕事の成果は時間ではなく内容で測られるべき」と指摘し、日本の長時間労働の弊害を挙げています。
2. 仕事の属人化
日本の職場では、業務が一人の担当者に偏る「属人化」が進んでいるケースが多く見られます。このため、仕事を終わらせるタイミングが不明確で、無駄に時間がかかることが少なくありません。一方で、ドイツではプロセスを標準化し、誰でも業務を引き継げる仕組みを整えていることが特徴です。
3. 上司の存在
日本では、上司の都合で仕事が左右されることも少なくありません。「上司が帰らないから自分も帰りにくい」といった雰囲気が、定時退社を阻む原因になっています。ドイツでは、上司自身が効率を重視し、部下の働き方に過干渉しない文化が根付いています。
ドイツ流働き方を取り入れるための具体策
1. 「終わる時間」を意識した計画
熊谷さんは、「退社時間を最初に決めてからスケジュールを立てること」を提案しています。仕事にかかる時間を逆算し、タスクの優先順位を明確にすることで、効率的に仕事を進められるようになります。
2. 仕事の属人化を防ぐ
仕事をチームで共有しやすい形に整えることが重要です。ドイツでは、業務プロセスをシステム化し、必要な情報を誰でもアクセスできる状態にしています。これを日本の職場でも取り入れることで、負担が一人に集中するのを防ぎ、定時退社を実現しやすくなります。
3. 「オフの時間」を確保する意識
仕事とプライベートを分けることが、心の健康を保つ鍵です。退社後は仕事の連絡を見ない、週末はリフレッシュに徹するなど、オンとオフの切り替えを意識的に行う習慣を取り入れてみましょう。
まとめ
『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』は、働き方改革のヒントを与えてくれる一冊です。効率的な働き方を学び、自分の時間を確保することは、現代のビジネスパーソンにとって欠かせないテーマです。
「時間内に終わらせる」という意識を持ち、仕事とプライベートをしっかり分けることで、より充実した毎日を手に入れることができます。この本をきっかけに、自分の働き方を見直してみませんか?