センスを磨け!/センスは知識からはじまる/水野 学/おすすめ星4

おすすめ本

「センスがないから無理」「自分にはデザインの才能なんて…」と、いつの間にかあきらめていませんか? 実はセンスは“知識と経験の積み重ね”によって伸ばせる、という主張をわかりやすく解き明かしてくれるのが、水野学さんの『センスは知識からはじまる』です。アートディレクターとして数々の企業ロゴやパッケージデザインを手がけた著者ならではのノウハウが満載で、「センスを磨くってこういうことか!」と納得させられる場面がたくさんあります。今回は、この本の内容をざっくりとかいつまんでご紹介しながら、“センス”という言葉の真意を探ってみましょう。
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センス=先天的な才能ではない?

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「センスがいい人」というと、どうしても“生まれつきのおしゃれセンス”や“天性の感性”を持った人を思い浮かべてしまいがちです。ところが、水野さんはそれは誤解だと強調します。センスとは「的確な知識を身につけて判断力を磨いた結果」生まれるものであり、誰でも学習とトレーニングで高められるというのです。言い換えれば、センスを磨くための近道は「できるだけ多くの事例や情報をインプットし、その違いを徹底的に見比べる」ことであり、そこに才能や根性論の入り込む余地は実は少ないといいます。

デザイン事例から学ぶ“削ぎ落とす力”

本書の最大の魅力は、多くの実例を通じてセンスの正体を説明している点です。著者は、企業ロゴや商品パッケージ、広告などの実際のデザインを例に出しながら、情報をシンプルに整理することの大切さを繰り返し説きます。たとえば、色や形、文字数がやたら多いと、結局何が言いたいのかがボヤけてしまう。一方で、必要最小限に要素を絞り込めば、メッセージは明確に伝わり、洗練された印象を与えられる。これはデザインだけでなく、プレゼン資料やメール文面など、さまざまな場面に応用できそうです。

インプットとアウトプットを回すプロセス

著者が提案するセンス習得のステップはシンプルです。まずは幅広い知識や事例をインプットして、その違いを観察・分析する。次に、それらを活用して自分なりにアウトプットしてみる。最後に、その成果を振り返ってフィードバックし、またインプットへとつなげる。いわば、この“知識の蓄積→分析→活用”のサイクルを何度も回すことで、センスの引き出しがどんどん増えていくという考え方です。しかも、これはデザイナーに限らず、ビジネスマンや学生など、あらゆる人が実践できる方法論だといえます。

“目利き”になるための日常習慣

センスを磨く秘訣として、水野さんは“良いデザイン”だけでなく“悪いデザイン”にもしっかり目を向けるべきだと説いています。具体的には、身近な広告や街の看板、商品のパッケージを見て、「これはなんだかイマイチ」「ここが良くない」といったポイントを探すトレーニングを重ねること。そうするうちに、自分の中で「何が優れたデザインなのか」が自然と整理されていき、判断基準が明確化されるというわけです。いわば“目利き”としての感度を高める行為であり、それが「センスがいいね」と言われる原動力になるのです。

仕事と生活にも役立つ“シンプル思考”

本書を読んで感じるのは、センスという概念がデザイン分野だけの話ではない、ということです。たとえば、説明やコミュニケーションでも、あれこれ情報を詰め込みすぎると肝心なメッセージが届かない。逆に「伝えたいことは何か?」を明確にして、それ以外を潔く削ぎ落とすと、スッと理解してもらえる。この“シンプル思考”は、多くの仕事現場でも効果を発揮してくれるはず。センスのベースは知識であり、その知識をいかに取捨選択するかが鍵になる、と改めて実感させられます。

おわりに

『センスは知識からはじまる』は、「センスは生まれつきの才能」という先入観を覆し、デザインや企画の世界で培われてきた数々の事例から、センスを高める方法を論理的に伝えてくれる一冊です。水野学さんが繰り返し強調する“不要なものをそぎ落とし、本質を浮かび上がらせる”思考法は、仕事でもプライベートでも応用しやすく、読後すぐに取り入れやすいのが嬉しいところ。もし「自分にはセンスがない」とあきらめかけているなら、この本を手にとって「センスは知識で培うもの」という視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。あなたの“見る目”が大きく変わるきっかけになるかもしれません。

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