福富太郎さんの著書『損して得とれ』は、商売や人生における深い洞察と、成功へのユニークなアプローチを学ぶことができる一冊です。彼は昭和のキャバレー王として名を馳せ、銀座を中心に繁栄した高級クラブのオーナーとして成功を収めました。その成功の背後には「損をしても、その損から学び、最終的に得をする」という独自の哲学がありました。この考え方こそ、福富太郎さんの人生とビジネスにおける核心であり、多くの人がその言葉に勇気をもらってきました。
損から学ぶ知恵
福富さんの「損して得とれ」の核心は、「損をして転んだところには、かならず″知恵″が落ちている」というものです。彼は、失敗や損失をネガティブに捉えるのではなく、それを次に活かすための貴重な学びと位置付けました。たとえば、彼が語った「弁当箱事件(不注意で当時は貴重だった弁当箱をうっかりなくしてしまったがそれからは同様のミスを繰り返さないシステムを作った)」というエピソードは、失敗を通じて得た知恵をどう活かすかを示す典型的な例です。何かを失ったり失敗したりしても、その経験を次のチャンスに生かすことで大きな利益を得ることができるという考えは、商売や人生において非常に役立ちます。
また、「転んでもタダでは起きるな」という彼の言葉は、失敗を単なる終わりとしない姿勢を表しています。仕事でも金儲けでも、成功する人たちは、みな「損を生かす力」を持っています。一度の失敗が、その後の大失敗を防ぐ「知恵」に変わることがあるという福富さんの考え方は、現代でも非常に有効です。
見切る力の大切さ(サンクコスト思考に通じる)
「商売でも仕事でも女でも、上手に″見切る″ことが成功につながる」というのも福富さんの教えの一つです。失敗を引きずることなく、時には早めに損切りすることが、最終的には大きな得につながるのです。彼は「三ヵ月がんばってうまくいかないときは、さっさと見切れ」とも述べており、無駄な努力を続けるよりも、新しい手を考え、次に進むことが重要だと説いています。これこそ、商売や人生においての「柔軟さ」とも言えるでしょう。
福富さんは、失敗をしたら「さっさと家に帰って寝てしまえ」とまで言います。クヨクヨしていても何も解決せず、かえってチャンスを逃してしまうのだから、気持ちを切り替えることが大事だという教えです。「株で損をしても、女にふられても、三時間で忘れろ」という名言からも、過去に執着しない、前向きな姿勢がうかがえます。
見切りのスキルと成功への道
福富さんは、何でも長く続ければいいというわけではなく、早めに見切ることで新たなチャンスが見えてくると強調しています。「見切ったときには、すでに得をつかんでいる」という言葉通り、損を恐れるのではなく、適切なタイミングで新しいアプローチに切り替えることで、得るものがあるのです。
損を恐れない生き方
若い頃、私、ダントツ君も福富太郎さんの本を読んで、元気をもらった経験があります。当時はまだ何も成功しておらず、人生のどん底にいるような気がしていました。しかし、福富さんの「損して得とれ」という教えに触れ、損を恐れずに前進しようと思うことができました。「最悪の状況を考えれは、現状はまだ幸せのうちだ」と思えば、どんな困難も乗り越えられるような気持ちになったのです。福富さんの哲学に励まされ、今では「プチFIRE」できている自分に感謝しています。
福富さんの教えの中でも特に印象的なのは、「欠点は、隠すよりも逆手にとって利用しろ」という考え方です。たとえば、「話し下手だからこそ、信頼感をもたれる″伝え上手″になれるのだ」と彼は言います。容姿や才能に恵まれないことは、かえって自分を磨くチャンスだというのです。背が高く顔がいい男は、たいてい「得」しているように見えて、自分が見られていることを意識しすぎるあまり、なりふりかまわず突き進むことができない。だからこそ、生まれつき「得」している人は「損」している部分もあるのです。
相手に得をさせる
また、福富さんは商売において「相手を得させることが成功のカギ」だとしています。「たいせつなことは、信用プラス『相手を得させる』ということ。『この人とつきあっていればかならず得をする』と思わせるのが商売成功の最大のツボだ」と言います。この考え方は、現代のビジネスにも通じる普遍的なものです。自分が利益を得るだけでなく、相手にも喜びや利益を与えることが、信頼を築き、最終的には自分自身にも大きなリターンをもたらすのです。
まとめ
福富太郎さんの『損して得とれ』には、現代のビジネスや人生にも通じる深い教訓が詰まっています。損を恐れずに前進し、失敗から学び、見切る力を持つことで、大きな成功を手にすることができるという彼の教えは、今でも多くの人々に勇気と希望を与えています。