糸川英夫『驚異の時間活用術』:切れはしの時間を使いこなす達人の秘訣
糸川英夫といえば、日本のロケット開発の父として知られていますが、その忙しいスケジュールの中でどのように時間を管理していたのか、彼の「驚異の時間活用術」は非常に参考になるものです。糸川は「切れはしの時間」、つまりまとまった時間が取れない中で、どのようにして生産性を高めるかに焦点を当て、これを最大限に活用する方法を編み出しました。この記事では、糸川英夫が語った時間の使い方の秘訣を紹介し、現代のスマホ時代にどのように応用できるかを探っていきます。
勝負は「切れはしの時間(こまぎれの時間)」で決まる
糸川は、時間の使い方において非常に独特な視点を持っていました。彼はこう語ります。
「たとえ一万円を落としたとしても、翌週の一週間をがんばれば、一万円を取り戻すのは可能である。しかし、過ぎ去った時間だけは、取り戻そうと思っても、誰にも取り返すことはできない」
この考え方に基づき、糸川は「切れはしの時間」、つまりまとまらない短い時間をいかに活用するかに重きを置きました。彼は日常生活の中で無意識に捨て去られている時間に目を向け、その時間を活用することの重要性を強調しています。たとえば、誰かを待つ数分や、交通渋滞で足止めを食らう時間、レストランで注文を待つ時間など、こうした**「中途半端な時間」**は多くの人が無駄にしてしまいがちです。しかし、糸川にとっては、これらの時間こそが宝の山でした。
「たかが十五分や二十分……と思ったらもうだめである」
糸川は、こうしたわずかな時間が積み重なることで、驚くほど多くの時間が失われていることに気づきました。彼は、こうした「切れはしの時間」を無駄にせずに活用することで、日々の生産性を飛躍的に高めていたのです。
切れはしの時間をどう活用するか
糸川は、どこにいても仕事を進めるための工夫を常にしていました。新幹線や飛行機の座席、待合室、さらには車の中でも原稿を書いたり、本を読んだりすることで、限られた時間を最大限に活用していたのです。彼の考え方は非常にシンプルでありながらも、効果は絶大です。
「駅で電車を待つほんのわずかな時間など、たいていの人びとが何気なく捨ててしまっている時間がある。それを、いちどためしに拾いあつめつなぎ合わせてごらんなさい。きっと、何時間という驚くほど長い時間が、毎日、惜し気もなく捨て去られていたことに気がつくはずだ。」
彼のポイントは、時間の使い方に対する意識を変えることです。糸川が実践していたのは、日常の無駄な時間を「つなぎ合わせる」ことで、その時間を有効活用するという考え方です。彼は、どんなに短い時間でも意味のある作業を進めることができると信じていました。そして、この「切れはしの時間」を活用することが、自分自身の目標に向かって力強い一歩を踏み出す鍵だとしています。
スマホ全盛の時代における応用法
糸川英夫の「切れはしの時間」活用術は、現代のスマホ全盛の時代にこそ、さらなる力を発揮します。スマホは、私たちの日常の中で欠かせないツールとなっており、これを活用することで、糸川が提唱した時間の使い方を現代に適応させることができます。
たとえば、電車を待っている数分や、レストランで料理を待つ時間を使って、スマホでメールを処理したり、メモアプリを使ってアイデアを書き留めたり、電子書籍を読むことができます。糸川が新幹線の中で原稿を書いたように、私たちもスマホを使ってどこでも仕事や学習を進めることが可能です。
「切れはしの時間」をスマホで最大限に活用するというアプローチは、まさに現代の時間管理術において最も重要なスキルの一つと言えるでしょう。スマホは、常に私たちの手元にあり、待ち時間や隙間時間を瞬時に有効活用できるため、糸川の哲学を実践するには最適のツールです。
時間を「拾い集める」という発想
糸川の発想の魅力は、無駄にしてしまいがちな時間を「拾い集める」というところにあります。現代の忙しいライフスタイルにおいて、私たちは時間が足りないと感じることが多いですが、実はよく見れば、無駄にしている時間が意外と多いものです。
糸川はこうした無駄な時間を「時間の切れはし」と呼び、それを集めることで一日に何時間もの価値ある時間を作り出すことができると説いています。この考え方は、現代の私たちにも非常に役立つ教えです。スマホを使えば、隙間時間でニュースを読んだり、調べものをしたり、リマインダーを設定して効率よくタスクを進めることができます。これこそ、糸川が提唱した「時間を拾い集める」という発想を、現代において効果的に活用する方法です。
成功の鍵は「切れはしの時間」にあり
糸川は、成功の鍵は大きなまとまった時間ではなく、むしろ「切れはしの時間」にあると考えていました。多くの人が見過ごしてしまうこの短い時間をいかに活用するかが、日々の成長や成功に直結するというのです。彼が言うように、たかが15分、20分の時間が積み重なることで、他人との差が大きく広がることになります。
「そしてある日、ふと気がついたとき、『なあに、一時間や二時間くらい、あした取り戻せばいいさ』とたかをくくったり、〝切れはし″を省みなかった人とのあいだに、大きな開きが生じていることを発見するのではないだろうか。」
糸川のこの言葉は、私たちが日々の無駄な時間をどれだけ意識的に活用するかで、将来の成果に大きな差が生まれることを示しています。成功を手に入れるためには、切れはしの時間を決して無駄にせず、それを積み重ねていくことが重要です。
まとめ
糸川英夫の『驚異の時間活用術』は、無駄になりがちな「切れはしの時間」をどのように使いこなすかを中心にした実践的な時間管理術です。彼が語るように、たかが15分、20分と思わず、その時間を大切に使うことで、一日の中で驚くほどの成果を得ることができます。特にスマホ全盛の現代では、この切れはしの時間を活用することで、日常生活やビジネスの生産性を劇的に向上させることが可能です。
糸川の哲学は、どんなに時代が進んでも色あせない普遍的なものであり、私たちも日々の切れはしの時間を大切にすることで、大きな成功を手に入れることができる